✎心理カウンセラー・ラッキー
「自分は本番に強いと思う人は、手を上げて!」
そう言われてパッと手を上げられる人は、ほぼ100パーセントいないと思います。
本当は、誰だって本番に弱いもの。
あのイチローですら、バッターボックスで吐きそうになることがあるそうです。
スケートの羽生結弦選手ですら、実は本番に弱いのです。
ただ本番に強い人は、本番に弱い原因とその克服法を知っているから、大舞台でもなんとか乗り越えられる。
というわけで、ここでは「本番に弱い原因と克服法」をご紹介していきます。
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< 目次 >
まず初めに、本番に弱い3つの原因をご紹介していきます。
原因がわかれば、次の克服法もすんなり頭に入ると思いますよ。
本番に弱い一番の原因は、単純に”経験が少ない”こと。
経験の量に比例して、緊張は弱まっていくものです。
緊張とは、得体の知れないものに対する”脳の緊張”や”筋肉の硬直”。
たとえば、野良猫をナデようとすると、猫は身体をビクッとさせます。
これが本番に弱い状態。
しかし何度も触っているうちに、猫も慣れてきて筋肉が硬直することはありません。
これが本番に強くなった状態。
同じことを何度も経験すれば、脳や筋肉が慣れてきて必ず本番に強くなるのです。
つまり、本番に強くなるためには、”本番さながらの練習を繰り返す”のが一番の近道。
そのための方法は主に2つ。
・本番さながらの練習をする
・イメージトレーニング
本番さながらの練習とは…
たとえば、大学受験であれば模擬試験をたくさん受ける。家では問題集を時間を計ってやる。
スポーツであれば、練習試合を増やす。練習であっても「ここは試合会場だ」と暗示をかけて練習する。
人前で話すのであれば、鏡の前で何度も何度も練習する。
このようなことを繰り返すことで、必ず本番に強くなります。
またイメージトレーニングも、本番に強くなるのにとても効果的。
やり方については、のちほど克服法のほうで詳しくご紹介させていただきます。
もしも「自分は人一倍本番に弱い」というのであれば、”邪魔なプライドが高い”のかもしれません。
邪魔なプライドとは、「人からよく思われたい」「人には恥を見せられない」という気持ち。
周りからどう思われるかが常に気になって、失敗を強く怖れてしまいます。
その恐れが、筋肉の緊張をまねき余計にオドオドしてしまう。
呼吸も浅くなり、酸素が十分に脳に送られず、能力も落ちてしまう。
その結果、本番で実力を出し切れないのです。
失敗を強く怖れる人に必要なのは、「失敗したって何とかなる」「失敗するからこそ人は成長する」という強気の心構えを持つこと。
人前で話をしているときにズボンのチャックが開いていたって、それをいつまでも気にしているのは自分だけ。
1カ月後には、みんなスッカリ忘れているものです。
また、大きな失敗したって、命まで取られるわけではありません。
大きな失敗したからこそ、いい人生にできた人も世の中にはたくさんいます。
そんな長い視野で人生を見たとき、「失敗したって別にいいんだ」「失敗は悪いものじゃないんだ」と恐れが薄れ、本番にも強くなれるはずです。
それから、もう一つ。
本番中の緊張や震えなどを抑える”メタ認知”という方法がありますので、のちほど克服法の方でご紹介させていただきます。
完璧主義の人は、本番に弱くなりがち。
完璧主義とは、テストで75点など、そこそこの結果では満足できない人。
野球であれば「ポテンヒットではカッコ悪い」。
サッカーであれば「シュートを外した自分を許せない」。
このような完璧主義の人は、余計な緊張を生んでしまい、”本番に弱い人”になってしまいます。
また、完璧主義の人は、ミスをしないために余計な心配をするのも特徴。
「途中でお腹が痛くなったらどうしよう」
「緊張で頭が真っ白になったらどうしよう」
このように”予想外の展開”をわざわざ予想してしまい、余計な緊張を招いてしまうのです。
人間は神でもなければ、完璧でもありません。
あのイチローだって3割がやっと。残りの7割はアウトです。
体調を完璧に整えたはずのオリンピックのマラソン選手だって、途中でお腹が痛くなって、草むらで用を足すこともあるのです。
あなたを含めて、どんな人間だって完璧にはなれません。
誰にでも、ずっこけちゃうときがあります。
予想外のことは、あって当たり前。自分だけ神経質になる必要はないのです。
そのことを肝に銘じておくだけでも、心に余裕が出てきて本番に強くなれるはずです。
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本番に強くなるのに最も効果的な方法は、イメージトレーニング。
イメージトレーニングとは「想像を使って本番をリハーサルする」ことです。
本格的なアスリートでイメトレを取り入れていない人は、まずいないと思います。
イメトレは、誰もが認める”本番に強くなる方法”なのです。
ある飛行機の客室乗務員によると、スケートの羽生結弦選手は飛行機に乗ってる間ずっと目をつむりイメトレをしているそうです。
だから彼は、人一倍 本番に強いのですね。
また、イメトレをするだけで、実際に実力まで上がることが研究によって証明されています。
ピアノを使って練習しようが、イメトレでピアノを練習しようが、同程度に実力が上がるのです。
なぜこのようなことが起こるかというと、脳は”現実”と”想像”を区別できないから。
梅干しを想像しただけで、現実に唾が出てくるのも、脳が想像を”現実とカン違い”しているからです。
つまり、イメトレで本番を疑似体験すれば、脳がカン違いして、現実の本番でも緊張しなくなってくる。
さらに、イメトレするだけで腕前が上がる。
こんなにオイシイ方法は、他に無いですよね。
イメトレのコツは、最初から最後まで全部想像すること。
受験であれば、駅を降り、校門をくぐり、席につき、試験を受け、駅に帰ってくるまで。
スピーチなら、名前を呼ばれる前から、スピーチが終わるまで。
このように、全てを想像の中で経験すること。
そして、それを何度も繰り返すこと。
これがイメトレのコツです。
イメトレは、やればやるほど上手くなります。
ときには、イメトレの中で「知らない人が突然話しかけてきた」なんていう予想外の展開が起きることもあります。
最初は上手くイメージできないかもしれませんが、次第に「堂々と本番に臨む気分」を味わえるようになってくるはずです。
本番の弱さを克服するのに、”言葉のチカラ”はとても有効。
言葉ひとつで、気持ちがガラッと変わるからです。
そのことをプロスポーツ選手やアスリートたちはちゃんと心得ていて、慎重に言葉を選びます。
「金メダルしか眼中にありません」
「今からワクワクしています」
このように強気な言葉をわざと使って、自分を鼓舞しているのです。
ところが、一般の人は言葉のチカラを甘く見ているところがあって、自滅してしまう人が多い。
「どうしよう、どうしよう」
「ヤバい、焦ってきた」
そんな弱気な言葉を一度でも吐いたら、もう最後。
脳がやる気を失い、一瞬で心が折れてしまいます。
脳は暗闇の中にいるので、その人の”言葉”を頼りにして、外の状況を判断しています。
・弱気な言葉を吐けば、脳は逃げ出したくなる
・強気な言葉を吐けば、脳はやる気になってくる
つまり、本番に弱い人ほど、強気な言葉をつかって脳をダマす必要があるのです。
自信がなかったり緊張してきたときこそ強気言葉が大事。
「ゾクゾクしてきた」
「ワクワクしてきた」
「面白くなってきた」
「楽しみだぜ!」
それは嘘でもいい。強がりでもいい。
強気な言葉をつかって脳をダマしていくことが大事なのです。
元F1レーサーの片山右京さんは、こういいます。
「できる、やれる、絶対あきらめない」と自分に30分も言い聞かせていると自信が生まれる
本番に強い人ほど、みんなの見えないところで”言葉のチカラ”を活用しているものです。
本番に弱い人は、緊張すると声や足が震えてしまったり、頭が真っ白になってしまったり。
「もうこれは生理現象だから仕方ない」とあきらめている方もいると思います。
そんな方におすすめの”メタ認知”というユニークな方法があります。
メタ認知をつかえば、あの困った生理現象もある程度は抑えることが可能です。
やり方も簡単。
”身体に起きてる生理現象を実況中継する”だけ。
「足が震えてきたぞ」
「手が冷たくたってきた」
「呼吸が浅くなっている」
「目のピントが合わなくなってきた」
メタ認知のコツは、とにかく”しつこくしつこく”実況中継すること。
10分・20分・30分、長ければ長いほど効果があります。
ある有名な心理学者も、多くの学生を対象にした実験で、”実況中継”は非常に有効であったと語っています。
本番に弱い人の一番の悩みは、あの不快な生理現象だと思います。
生理現象さえ抑えることができれば、呼吸も深くなり、頭の回転も上がって、本物の実力を発揮することができるはずです。
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最後に、本番に弱い人が取り入れたい”心を強くするための生活習慣”を簡潔にご紹介させていただきます。
本番に弱い人は、”結果重視”なところがあります。
しかし、人生で大切なのは、結果よりもプロセス。
その努力によって”自分がどれだけ成長できたか”が一番大事です。
宝くじで当たった1000万円より、コツコツ貯めた1000万円のほうが遥かに価値がありますよね。
それは、コツコツ貯める過程で自分が成長していることを実感しているからです。
本番で緊張するということは、今まで懸命に頑張ってきたという証拠。
たとえ夢破れたとしても、その努力は決して裏切りません。
必ず人生の肥やしになり、「あのとき頑張ってきて本当によかった」と思える日が来るはずです。
だから、ぜひ自分を褒めてあげてください。
毎日毎日がんばっている自分を褒めてあげてください。
1年前の自分と比べて、自分の成長を確認してみてください。
すると「結果よりも日々のプロセスのほうが大切」という実感が湧いてくるはずです。
それと同時に「ここで失敗したって大したことじゃないんだ」と肩の荷も降りるはず。
そう考えられるようになれば、無駄な緊張が減り、本番にも強くなれるものです。
先にも述べましたが、本番に弱い人は、恥をかくことを強く恐れる傾向があります。
その恐れを弱める方法が、”自分の弱点をオープン”にすること。
ちょっと恥ずかしい失敗談や、一部の人しか知らない自虐ネタを面白おかしく話す。
すると、不思議なもので、自分のすべてをさらけ出すことが平気になってくる。
人を笑わせたいという気持ちのほうが強くなってきて、恥をかくことも平気になってくる。
さらに、友達も増えてくるという思わぬ効果もあります。
そうなれば、本番の緊張もグッと和らぎます。
たとえ失敗して人から笑われても、”笑われた”ではなく”笑わせた”と思う事ができるからです。
本番に弱い人は、自虐ネタを話すことを趣味にしてしまってもいいかもしれませんね。
本番に弱い人は、人の評価を気にしすぎる傾向があります。
失敗を強く怖れるのも、そのためです。
そこで本番に弱い人にぜひおすすめしたいのが、”開き直る”こと。
中でも、特におすすめの言葉は「知ったこっちゃない」です。
人にケナされても「知ったこっちゃない」
陰口を叩かれても「知ったこっちゃない」
たとえ褒められても「知ったこっちゃない」
ちょっと乱暴な感じもしますが、開き直ることで人の評価を無視することを、アドラー心理学で”課題の分離”といいます。
人の評価が気にならなくなる、とてもいい訓練になります。
人の評価を気にしなければ、本番の緊張もグッと減らすことができます。
たとえ失敗しても、それほど凹まなくて済みます。
人の評価に翻弄されることなく、自分の目標に向かって一直線に突き進むこともできます。
「知ったこっちゃない」。
この言葉を活用して、普段から人の評価を気にしない訓練していけば、やがて弱気な性格も改善されてくるはずです。
本番に弱い人は、”失敗は悪だ”と考えているところがあります。
しかし、失敗は悪ではありません。
人は、失敗したときと追い込まれたときにしか成長できないからです。
それを教えてくれるのが、偉人の伝記。
偉人とは、”数々の失敗を肥やしにして大きく成長した元一般人”。
失敗が、いかに大切なのかを教えてくれます。
子供向けのマンガの伝記で十分です。
ときどき伝記を読んで「失敗はいいことなんだ」と自分に教え込んでおけば、本番の緊張も大きく和らぐはずです。
くじけそうなときや、緊張でプレッシャーがかかったときに、”憧れの人ならどうするか”を考えると、強い勇気が湧いてくるものです。
ONE PIECEのルフィーなら、ここでどうするだろうか?
矢沢永吉なら、ここで何と言うだろうか?
亡くなったお爺ちゃんなら、どう励ましてくれるだろうか?
たとえ想像の中であっても、憧れの人は強いパワーを与えてくれます。
この癖をつけておくと、いざという時もきっと困らないはずです。
「焦りは禁物」といわれるように、”焦り”ほど心を乱すものはありません。
「本番が近いから」と焦ってがんばっても、いい結果が出ないことが科学的にも証明されています。
本番が近いときこそ、心を落ち着けることが大事。
十分な睡眠をとって”やる気十分”で本番を迎えた方が、精神的にも結果的にも良くなることが多いものです。
「心が焦ったら寝る」。
これは大実業家もつかっている、いい結果を出すための秘訣です。
☆☆☆
以上、「本番に弱い原因と克服法◇なぜあの人は本番に強いのか?」でした。
最後までお読みいただき、本当にありがとうございます!
(心理カウンセラー・ラッキー)
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